陽のあたる裏路地

観た映画や、読んだ本について書くブログ。ぬるっと始めたので詳細はまだ不明。

2020-01-01から1年間の記事一覧

12月12日、ジョン・ル・カレが肺炎で亡くなった。

89歳だった。 大往生と言っていい年齢であり、最近では自叙伝や伝記が出版されたこともあって、いつしか自分の中でこういう日が来ることへの覚悟ができていた気がする。 初めて読んだル・カレの作品は『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』で、高校…

渾身の変化球『スパイはいまも謀略の地に』/ジョン・ル・カレ

スパイはいまも謀略の地に 作者:ジョン ル カレ 発売日: 2020/07/16 メディア: Kindle版 前作『スパイたちの遺産』がこの作者の総決算のような刺激的な作品だったのに対し、今作は全体的にマンネリズムの感がある。 それでもさすがル・カレだけあって標準以…

「ランボー ラスト・ブラッド』エイドリアン・グランバーグ

ランボー5/ラスト・ブラッド [4K UHD+Blu-ray ※日本語無し](輸入版) -Rambo: Last Blood 4K- メディア: Blu-ray 前作『最後の戦場』はほんっとうに面白かった。映画館で見た当時、その日の疲れが全て吹っ飛んだほど興奮した。これと『ロッキー ザ・ファイナ…

『ぼっちーズ』入間人間

ぼっちーズ (メディアワークス文庫) 作者:入間 人間 発売日: 2015/06/04 メディア: Kindle版 大学生にもなっても友達ができない。一緒に授業を受ける相手も、笑いながら学食を食べる仲間もいない。そんな人間たちに謎の保険医(性別不明)から秘密基地が与え…

乙一の作品あれこれについて

『銃とチョコレート』 銃とチョコレート (講談社文庫) 作者:乙一 発売日: 2016/07/15 メディア: 文庫 昔から乙一はかなり読んでいたのだが、なぜかこの作品だけは未読でほったらかしになっていた。 で、改めて読んでみると二転三転する展開に周到な伏線と、…

『繊細な真実』+他

『繊細な真実』ジョン・ル・カレ 繊細な真実 (ハヤカワ文庫NV) 作者:ジョン ル・カレ,John le Carré 発売日: 2016/09/21 メディア: 文庫 さすがル・カレだけあって読ませる。秘密作戦、特殊部隊員との友情、陰謀を暴こうとする二人の男のサスペンス。高潔な…

『やがて君になる 佐伯さやかについて(3)』入間人間

やがて君になる 佐伯沙弥香について(3) (電撃文庫) 作者:入間 人間 発売日: 2020/03/10 メディア: 文庫 入間人間のすごいところは、キャラの心理描写がうまいところだ。しかもそれが他人の産んだキャラクターであり、さらに作中でも屈指の人気のある人物であ…

『Iの悲劇』米澤穂信

Iの悲劇 作者:穂信, 米澤 発売日: 2019/09/26 メディア: 単行本 過疎地への移住、「Iターン」を支援する市役所の人間たち。市長肝いりのプロジェクトだが、実務に励むのは「甦り課」の3人だけ。ぐうたらで定時になるとすぐに帰る西山課長。ちょっと仕事と先…

パセリコーラは飲んでみたい『本と鍵の季節』米澤穂信

本と鍵の季節 作者:米澤 穂信 発売日: 2018/12/14 メディア: 単行本 かなり真っ当な青春ミステリである。ここには省エネ主義の男子も好奇心旺盛な豪農の娘も、小市民を夢見る人たちもいない。主人公の堀川と松倉はただの高校生で、人気のない図書室の単なる…

『虚構推理 スリーピング・マーダー』

虚構推理 スリーピング・マーダー (講談社タイガ) 作者:城平 京 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/06/21 メディア: 文庫 アニメも絶賛放映中の『虚構推理』。アニメのエンディングの冒頭、画面いっぱいに映る模様はペイズリー柄という。なぜこの柄なの…