陽のあたる裏路地

観た映画や、読んだ本について書くブログ。ぬるっと始めたので詳細はまだ不明。

2023-01-01から1年間の記事一覧

『ドイツの小さな町』ジョン・ル・カレ

ドイツの小さな町〈上〉 (ハヤカワ文庫NV) 作者:ジョン ル・カレ 早川書房 Amazon 舞台となるのは反英感情が高まり、デモ行進やナショナリストの指導者のポスターが町中に張り出されている西ドイツの街、ボン。 そのボンでイギリス大使館の職員、リオ・ハー…

そこに幽霊が立っている『ねじの回転』ヘンリー・ジェイムズ

ねじの回転(新潮文庫) 作者:ヘンリー・ジェイムズ 新潮社 Amazon 最近、黒沢清の映画『LOFT』を観て、偉いと思った。そこには恐ろしい幽霊の姿を現代に甦らせようとする、作り手たちの真っ当な努力があった。古典的な怪奇映画を進化させようとする姿には感…

名探偵スマイリー。それにル・カレの視線『死者にかかってきた電話』(2)ジョン・ル・カレ

死者にかかってきた電話 (ハヤカワ文庫 NV 188) 作者:ジョン・ル・カレ 早川書房 Amazon 著名な作家のマイナーなデビュー作を読むのは楽しい。シリーズ物となれば尚更だ。よく知っているキャラクターたちの若いころの(つまり、初登場時の)姿が新鮮でおもし…

54年後の爆弾『死者にかかってきた電話』(1)/ジョン・ル・カレ

死者にかかってきた電話 (ハヤカワ文庫 NV 188) 作者:ジョン・ル・カレ 早川書房 Amazon 当時、イギリス情報部の現役スパイであったジョン・ル・カレはこの作品で作家デビューを果たした。 物語の舞台となるのはドイツが東と西に分かれていた、冷戦下のイギ…